~ ミシン糸の豆知識 ~

◇ 糸の太さ

ラベルに「50」や「60」などの数字が記載されていますが、これは縫い糸の太さを表しています。
数字が大きくなるほど糸の太さは細くなります。
生地の厚さに合わせて選べるように、さまざまな太さの糸があります。




◇ ミシン糸と手縫い糸

糸を作るとき、糸を強くするために何本か合わせてねじる作業があります。
これを撚り(より)をかけると言います。
ミシン糸は撚りが左撚り、手縫い糸は右撚りになっています。
ミシン糸はミシンの構造上、左撚りにすることで糸切れが起こりにくくなっています。
手縫い糸は手の動きに合わせて糸がよじれにくい右撚りになっています。
ミシン糸を手縫い糸として使うこともできますが、その場合は糸がよじれにくいように短めにカットして使うことをおすすめします。





◇ ミシン糸の種類

フィラメント糸(ポリエステル100%)

 絹ミシン糸を意識して開発された糸で、ポリエステルフィラメントミシン糸の通称を”テトロン糸”と呼びます。
テトロン糸はスパン糸より一般的には馴染みの少ない糸ですが、光沢があり、縫い目が美しく仕上がるため、高級婦人服や紳士服の縫製工場で広く使われています。
ただスパン糸に比べると少し伸度があるため、糸調子に注意して使わないと縫い縮み(パッカリング)発生しやすくなります。

太さ 主な用途 使用針
100 薄地用 9~11
80 薄地用 9~11
60 各種衣類 9~11
50 各種衣類 11~14
40 ステッチ・レザー製品 14~16
30 ステッチ・レザー製品 16~18
20 帆布・シート・厚地用ステッチ 17~19
8 帆布・シート・厚地用ステッチ 19~24
5 帆布・シート・厚地用ステッチ 21~26



スパン糸(ポリエルテル100%)

綿ミシン糸に代わって登場したのがポリエステルスパンミシン糸です。
ポリエステルの綿状にした短繊維を紡績し、綿糸と同様の風合いと外観を持たせてあります。
スパン糸はその縫いやすさからニット製品、カジュアル衣料等あらゆる生地の縫製に使われています。
世界的にも縫い糸の主流として流通しています。




ウーリー糸(ナイロン100% or ポリエステル100%)

フィラメント伸縮加工糸(かさ高加工糸)と呼ばれ、合成繊維の熱可塑性を利用してウールのように伸縮性を付与した糸です。
素材としてはナイロンとポリエステルがあり、それぞれ高伸縮と低伸縮の2タイプのウーリー糸があります。
一般的にウーリーとして市販されているのはナイロン高伸縮タイプになります。
ニット製品全般、水着、ファンデーションの縫製、また最近では「巻きロック」でブラウス等婦人服にも使用されています。
ナイロンウーリーは素材の特性上、経時変化でわずかに黄変が発生します。
ポリエステルウーリーは黄変はありませんが、ナイロンに比べると縫い上がりが少し硬い感じになるようです。




ニット用・ストレッチ用(ナイロン 100%)

ナイロン糸に特殊樹脂加工を施し、可縫性を高めたフジックス(ミシン糸の総合メーカー)のオリジナルなミシン糸です。
適度な柔軟性と伸縮性があり、ストレッチ素材、ファンデーション、ニット製品に使われます。




刺繍糸(レーヨン 100% or ポリエステル 100%)

ミシン用刺繍糸




新合繊用(ポリエステル100%)

フィットミシン糸等に代表される糸で、テトロン糸の持つ光沢・滑らかさと、スパン糸の使いやすさと生地へのなじみ良さ等、両方の特性を合わせ持った日本独自の複合ミシン糸です。 
最近の婦人服、紳士服は生地が薄く、デリケートな素材が多くなり、縫製後のパッカリング(縫い縮み)の防止に効果的な糸です。




後染め用綿糸

綿100%のミシン糸で「フジボウカタン製」のW3Cという品番の糸です。
縫製後に染色する商品にお使いください。




熱接着糸

縫製合理化のにない手として研究開発された、熱接着性の合繊糸です。
接着力の強い合成樹脂を紡糸したもので、金属におけるハンダのように「繊維のハンダ」ともいうべき役割をはたします。
接着縫製は縫製の省力化と能率向上の新しい分野を受け持つ技法として注目されています。本縫い前の下糸としてご使用ください。


※各メーカー独自の規格のため、番手の表示と太さなどには各社差があります。